音響

大ホール客席の写真

めざしたのは、最高級の響きです。

どの席に座っても最高の音を鑑賞できること。
コンサートホールにのぞまれる、最も単純にしてむずかしいテーマです。

屋内で人が耳にする音は、直接音(発せられた音そのもの)と反射音(壁や天井にぶつかって返ってくる音)から成り立っています。人の耳には区別はできませんが、直接音の0.1秒後に生じる反射音(初期反射音)が重なるとき、厚みが加わったすばらしい音として聞こえます。この初期反射音を全体に均等にゆきわたらせることは、ホールが大きくなるほどにむずかしくなり、音響設計の技術力が問われます。

調整卓の写真

曲線の壁と、巨大な音響反射板を採用

大ホール天井の音響反射板の写真

Kitaraの音響設計では、コンピューターを駆使して30通りもの初期反射音のシミュレーションをくりかえしてきました。そして試行錯誤すること3年、曲線の反射壁を客席にも設置することで、最高の音響効果を獲得したのです。反射壁には道産のやわらかな木材を使用、緻密な計算に基づいたその曲線は、場所によって異なるカーブを描いています。

さらに、オーケストラが発した音をホール全体に拡散させるため、ステージの上に全体幅17メートルの巨大な音響反射板をつり下げています。従来の反射板は、細分化したアクリル板を使用していましたが、Kitaraは軽量コンクリート製の反射板4枚を組み合わせてステージ上部をすべてカバー。世界的にも珍しい試みによって実現したやわらかで重厚な響きは、ワインのように年とともに熟成を加え、世界の名だたるコンサートホールにも肩をならべるときがくることでしょう。