リスト音楽院セミナー

リスト音楽院とは

 ハンガリーが生んだ偉大な作曲家、ピアニストのフランツ・リストにより1875年にハンガリー・ブダペストに創立されたリスト音楽院は、作曲家のバルトーク、コダーイ、ヴァイオリニストのシゲティ、指揮者のショルティなど、世界的な音楽家を輩出している歴史ある音楽院です。1960年代以降はラーンキ、コチシュ、シフなど優れたピアニストが巣立ったことでも知られています。札幌の「リスト音楽院セミナー」の指導教授も同音楽院の出身者。リストに連なる音楽家たちがその伝統を札幌で若い音楽家に直接伝えます。

リスト音楽院の写真

リスト音楽院 大ホール ©Jozsef Hajdu

リスト音楽院外観の写真

リスト音楽院 外観 ©Jozsef Hajdu

リスト音楽院セミナーとは

リスト音楽院教授による熱心な指導が受けられる貴重な機会

 札幌コンサートホールが1997年の開館以来、継続して開催しているセミナーで、これまでに延べ1,000人を超える方々が受講しています。ハンガリーの名門、リスト音楽院の教授たちによる熱心な指導が受けられる貴重な場として、毎年多くの方々が受講しています。セミナーではレッスンのほか、「講師による特別コンサート」や優秀受講生が出演する「受講生コンサート」が行われ、受講生は自由に聴くことができます。また、このセミナーで選ばれた最優秀受講生には、札幌コンサートホールからの派遣として、ブダペスト・スプリング・フェスティバル等ハンガリーでの演奏会に出演する資格が与えられます。

<歴代講師一覧>

ピアノコース:イシュトヴァーン・ラントシュ、シャーンドル・ファルヴァイ、アンドラーシュ・ケメネシュ、ガーボル・ファルカシュ、バラージュ・レーティ

チェロコース:ミクローシュ・ペレーニ

ヴァイオリンコース:アンドラーシュ・キシュ、クリストフ・バラーティ

ハープコース:アンドレア・ヴィーグ

日本人学生のために特別にリスト音楽院入学試験を実施

 通常、外国人が同音楽院の入学試験を受験する場合、音源による審査もしくはブダペストでの実技試験を受験する必要があり、日本からの受験生には負担が大きいですが、このセミナーでリスト音楽院教授陣が来札するのを機に、札幌コンサートホールに入試事務局を置き、日本人学生のために特別に入学試験を実施しています。札幌で行うリスト音楽院入学試験に合格すると、その場でリスト音楽院への入学資格(Non Degree Programme※)を得ることができます。この試験により、伝統ある音楽院の門戸が日本の音楽を学ぶ学生に大きく開かれています。

※1年を最短期間としてリスト音楽院で自由に勉強する制度で、履修証明を請求することはできますが、ディプロマ(卒業証明)は取得できません。

過去の受講生の声

・自分の受けたレッスンで多くのことを学べただけではなく、他の受講生の聴講をして良い刺激を受けました。

・コンサート、レッスン共に大満足でした。ぜひまた受講したいと思いました。

・レッスンを通して、まだまだ自分に足りない部分が明確にわかって良かった。

第27回リスト音楽院セミナー

 第27回リスト音楽院セミナーでは、ピアノコース及びヴァイオリンコース、ハープコースの受講生、聴講生を以下のとおり募集します。

セミナー概要

コース ピアノ、ヴァイオリン、ハープ
日程 2025年2月19日(水)~24日(月・祝)の6日間

※2月18日(火)にピアノコースの受講生選考オーディション(生演奏)を行います。
なお、ヴァイオリンコースは事前動画審査、ハープコースはオーディションなしの予定です。

会場 札幌コンサートホール Kitara

スケジュール

スケジュール

[ピアノコース]

編成/ソロ・デュオ
講師(審査員)/ガーボル・ファルカシュ、バラージュ・レーティ
定員/20人・組

オーディション
開催日/2025年2月18日(火)
対象/全応募者(第26回セミナーの最優秀受講生は免除)
受講資格/音楽高校・音楽大学在学・卒業、あるいは同等の能力をお持ちの方
オーディション演奏曲【2曲】 ※暗譜で演奏すること
 ①古典派のソナタから任意の一(ひと)楽章(緩徐楽章を除く)
 ②自由曲

レッスン
約1時間×2回受講することができます(通訳付、受講生には修了証が授与されます)。
レッスン受講曲(原則として2曲)
 ①古典派のソナタ(全楽章)
 ②自由曲

※「オーディション演奏曲」と「レッスン受講曲」が異なる場合は、申込時にお申し出ください。

※自由曲で複数曲の受講を希望の場合はご相談ください。また、「ピアノ協奏曲」でも受講可能ですが、伴奏者をご同行ください(オーディション時の同行については、事前に要相談)。最優秀受講生選考の対象曲は、原則ソロ曲です。

料金
オーディション料/1人・組につき5,000円
受講料/1人につき45,000円(レッスン受講料、6日間の全コースレッスン聴講料、練習室使用料、全コンサートの入場券、閉講式・レセプション込)

※オーディション料および受講料は事前にお振込みいただきます。オーディションの結果、選考されなかった場合は、お預かり額からオーディション料を差し引いた額を後日返金します。

※オーディションのキャンセルは前日までにご連絡ください。当日にキャンセルした場合、原則としてオーディション料は返金できませんのであらかじめご了承ください。なお、キャンセルに伴う返金の場合は、振込手数料を差し引いた額を返金いたします。

[市内音楽家のための特別レッスン(ピアノコース)]

オーディションの結果、選考されなかった方のうち、札幌市及び近郊で活動する方を対象に特別レッスンを行います。選考は講師が行い、レッスンを1回受講できます。
講師(審査員)/バラージュ・レーティ
定員/若干名

レッスン
約45分×1回受講することができます(通訳付、受講生には修了証が授与されます)。
レッスン受講曲/自由曲【1曲】

料金
受講料/1人につき30,000円(レッスン受講料、6日間の全コースレッスン聴講料、練習室使用料、全コンサートの入場券込)※閉講式・レセプション費用は含まれません。

※オーディション料および受講料は事前にお振込みいただきます。オーディションの結果、選考されなかった場合は、お預かり額からオーディション料を差し引いた額を後日返金します。

※オーディションのキャンセルは前日までにご連絡ください。当日にキャンセルした場合、原則としてオーディション料は返金できませんのであらかじめご了承ください。なお、キャンセルに伴う返金の場合は、振込手数料を差し引いた額を返金いたします。

[ヴァイオリンコース]

編成/ソロ
講師(審査員)/クリストフ・バラーティ
定 員/6~7人・組

オーディション
事前の動画審査を行います。演奏動画をYouTubeに限定公開でアップロードのうえ、申込フォームに該当URLを入力し、ご提出ください。
対象/全応募者
受講資格/音楽高校・音楽大学在学・卒業、あるいは同等の能力をお持ちの方
オーディション演奏曲/自由曲【1~2曲】 ※オーディションは伴奏なしで演奏してください。

レッスン
約1時間×2回受講することができます(通訳付、受講生には修了証が授与されます)。
レッスン受講曲/自由曲【1~2曲】

※「オーディション演奏曲」と「レッスン受講曲」が異なる場合は、申込時にお申し出ください。

料金
オーディション料/1人・組につき5,000円
受講料/1人につき45,000円(レッスン受講料、6日間の全コースレッスン聴講料、練習室使用料、全コンサートの入場券、閉講式・レセプション込)

※オーディション料および受講料は事前にお振込みいただきます。オーディションの結果、選考されなかった場合は、お預かり額からオーディション料を差し引いた額を後日返金します。

※オーディションのキャンセルは前日までにご連絡ください。当日にキャンセルした場合、原則としてオーディション料は返金できませんのであらかじめご了承ください。なお、キャンセルに伴う返金の場合は、振込手数料を差し引いた額を返金いたします。

[市内音楽家のための特別レッスン(ヴァイオリンコース)]

オーディションの結果、選考されなかった方のうち、札幌市及び近郊で活動する方を対象に特別レッスンを行います。選考は講師が行い、レッスンを1回受講できます。
講師(審査員)/クリストフ・バラーティ
定員/若干名

レッスン
約45分×1回受講することができます(通訳付、受講生には修了証が授与されます)。
レッスン受講曲/自由曲【1曲】

料金
受講料/1人につき30,000円(レッスン受講料、6日間の全コースレッスン聴講料、練習室使用料、全コンサートの入場券込)※閉講式・レセプション費用は含まれません。

※オーディション料および受講料は事前にお振込みいただきます。オーディションの結果、選考されなかった場合は、お預かり額からオーディション料を差し引いた額を後日返金します。

※オーディションのキャンセルは前日までにご連絡ください。当日にキャンセルした場合、原則としてオーディション料は返金できませんのであらかじめご了承ください。なお、キャンセルに伴う返金の場合は、振込手数料を差し引いた額を返金いたします。

★ソロでの参加にあたって伴奏者の手配を希望する方は、申込時にお申し出ください(伴奏者への謝礼が別途かかります)。

伴奏者への謝礼

・合わせ 5,000円/回 ・レッスン 5,000円/回

・受講生コンサート出演 一式10,000円 ※受講生コンサートに向けた練習やゲネプロ参加を含む

・ノン・ディグリー・プログラム入試 一式5,000円 ※入試に向けた練習を含む

・伴奏手配キャンセル 一律5,000円

※費用の支払い方法については、オーディション合格後に伴奏者と直接ご相談ください。

※伴奏譜は12月6日(金)までにセミナー事務局へご提出ください。

[ハープコース]

編成/1レッスン※初心者向け(ソロ)・2レッスン(ソロ)
講師/アンドレア・ヴィーグ
定員/若干名

オーディションは行いません。

レッスン
レッスン受講曲/自由曲【1~2曲】

・1レッスン※初心者向け(ソロ):約45分×1回受講することができます(通訳付、受講生には修了証が授与されます)。

・2レッスン(ソロ):約1時間×2回受講することができます(通訳付、受講生には修了証が授与されます)。

料金
受講料のみ/
1レッスン※初心者向け(ソロ):1人につき30,000円(レッスン受講料、6日間の全コースレッスン聴講料、練習室使用料、全コンサートの入場券込)※閉講式・レセプション費用は含まれません。
2レッスン(ソロ):1人につき45,000円(レッスン受講料、6日間の全コースレッスン聴講料、練習室使用料、全コンサートの入場券、閉講式・レセプション込)

※受講料は事前にお振込みいただきます。

※セミナーのキャンセルに伴う返金の場合は、振込手数料を差し引いた額を返金いたします。

[聴講生]

セミナー期間中、誰でもレッスンの様子を見学、聴講することができます(有料)。どのようなレッスンが行われるのか、セミナー受講を検討する方も今後の参考にぜひご活用ください。

・全期間聴講生…事前申込制。
聴講料/一般15,000円、U25 5,000円(6日間の全コースレッスン聴講料、全コンサートの入場券込)※閉講式・レセプション費用は含まれません。

・一日聴講生…各日販売でレッスンのみ聴講可能。一日単位で聴講することができます。事前申し込みは不要ですので当日札幌コンサートホール事務室にお越しのうえ現金にて聴講料をお支払いください。
聴講料/一般3,000円、U25 1,000円 ※コンサートの入場券は含みませんので別途チケットをご購入ください。

※レッスンスケジュールの詳細はオーディション終了後、札幌コンサートホームページ等でお知らせいたします。

※U25:1999年以降にお生まれの方(未就学児を除く)であれば学生に限らずご購入いただけます。ご購入、ご来場時に生年を証明できるものをお持ちください。

申込方法(締め切り:12月6日(金))

  • フォームからお申込みください。 ※申込書をご要望の場合はセミナー事務局へお問い合わせください。

    申込フォームはこちら

  • フォームからのお申込み完了後、12月6日(金)までに以下の振込先へ受講料等を納入してください。

    <振込先>
    北海道銀行 真駒内支店 普通口座 0526281
    公益財団法人 札幌市芸術文化財団 理事長 秋元 克広(あきもと かつひろ)

    ※振込者名と参加者名は同一となるようにしてください。

    ※振込手数料はご負担願います。

    ※期限までにお振込みのない場合は、セミナーの受講を取りやめたものと判断させていただきます。

関連事業(いずれも札幌コンサートホールKitara小ホールで開催)

  • リスト音楽院開学150周年記念ガラ・コンサート
    2025年2月19日(水) 19:00開演
    出演 アンドレア・ヴィーグ(ハープ)、ガーボル・ファルカシュ、バラージュ・レーティ(ピアノ)
    料金 全席指定(税込) 一般4,000円 U25 1,000円
  • リスト音楽院講師による特別コンサート 「クリストフ・バラーティ ヴァイオリンリサイタル」
    2025年2月21日(金) 19:00開演
    出演 クリストフ・バラーティ(ヴァイオリン)、ガーボル・ファルカシュ(ピアノ)
    料金 全席指定(税込) 一般3,000円 U25 1,000円
  • ハープ特別レクチャー
    2025年2月23日(日) 11:00開講
    講師 アンドレア・ヴィーグ(ハープ)
    料金 全席自由(税込) 一般1,000円 U25 500円
  • 受講生コンサート
    2025年2月24日(月・祝) 15:00開演
    出演 担当講師の推薦を受けた優秀受講生(6~8名程度)
       渡辺 彩乃(ピアノ、第26回リスト音楽院セミナー最優秀受講生)
    料金 全席指定(税込) 500円
    渡辺 彩乃さんの写真

    渡辺 彩乃 ©井村 重人

※U25:1999年以降にお生まれの方(未就学児を除く)であれば学生に限らずご購入いただけます。
ご購入、ご来場時に生年を証明できるものをお持ちください。

※各公演ともに12月7日(土)からKitaraチケットセンター他市内プレイガイドで販売予定。

講師プロフィール

アンドレア・ヴィーグ (ハープ) Andrea Vigh

アンドレア・ヴィーグ写真

© Andrea FELVÈGI

 リスト音楽院でハープを学ぶ。カプリッチョやフンガロトン・レーベルから10枚に及ぶソロのCDをリリースし、高い評価を得る。リスト音楽院大ホールでソロリサイタルを行うほか、ソリストや室内楽奏者としてもハンガリーやヨーロッパのコンサートホールに数多く出演。1993-96年までブダペスト祝祭管弦楽団の演奏会に定期的に出演し、ベルリンやパリ、ザルツブルク音楽祭、ニューヨークのカーネギーホールでも演奏を行う。94年、「ハープ協奏曲集」のCDを発売した際、第2ドイツテレビの番組に出演した。
 2003年の「ブダペスト春の音楽祭」ではゾルタン・コチシュ、05年の「Winter Festive Evenings」ではソプラノのエヴァ・マルトンやイロナ・トコディと共演。06年、フンガロトン・レーベルでベラ・ドラホシュ指揮のハンガリー放送交響楽団とモーツァルトの「フルートとハープのための協奏曲」のDVD収録を行っている。
 1999年から始まったゲデレーの国際ハープフェスティバルを創設し、ウェールズやアルル、ベオグラード、セゲド、ゲデレーの国際ハープコンクールで審査員を務めている。2010年、日本で演奏旅行を行い、12年にはブリュッセルでソロリサイタルや王立音楽院でのマスタークラスも行っている。これまでに2度、リスト音楽院セミナーに参加しており、レッスンやレクチャーのほか14年にソロリサイタル、16年にはミクローシュ・ペレーニと共演した。
 1996年、リスト音楽院教授に就任。主任教授、副学長を歴任し、2013―23年にわたってリスト音楽院学長を務めた。

ガーボル・ファルカシュ (ピアノ) Gábor Farkas

ガーボル・ファルカシュ写真

 2005年、リスト音楽院卒業。ゾルターン・コチシュとタマーシュ・ヴァーシャリ指導のもと、14年に同音楽院博士号取得。同時に、コモ湖国際ピアノアカデミーにて、ウィリアム・ナボレー氏のもとで研鑽を積む。
 2015年、ニューヨークコンサートアーティスト&アソシエイト主催コンクールにて最優秀賞を受賞し、16年、カーネギーホールにてデビューリサイタルを行う。ワイマール第6回国際リストピアノコンクール第1位、聴衆賞及びベストハイドンソナタ演奏者賞(09年)、ハンガリー全国ラジオピアノコンクール第1位(03年)ほか、多数のコンクールで数々の賞を受賞している。また、12年にはハンガリー最高芸術家賞であるフランツリスト賞を受賞。
 世界各地で演奏活動を行っているほか、ゾルターン・コチシュ、アダム・フィッシャー、小林 研一郎ほか著名な指揮者と共演し、絶大な信頼を得ている。
 現在、リスト音楽院ピアノ科主任教授。東京音楽大学等で若い世代の育成にも力を注いでいる。
 リスト音楽院セミナーには2019年、20年、22~24年に講師として参加。

バラージュ・レーティ (ピアノ) Balázs Réti

バラージュ・レーティ写真

 1974年ブダペスト生まれ。リスト音楽院でジョルジュ・ナードル氏の指導のもと研鑽を積み、98年優秀な成績で卒業。99年よりリスト音楽院で後進の指導にあたり、2007年博士号取得。
 アイルランド ダブリンのナショナル・コンサート・ホール、ドイツのベルリン・コンツェルトハウスなどヨーロッパ各地で演奏するほか、アメリカ、日本、南アメリカ、インドネシア、カザフスタンなど世界各地で演奏活動を行う。また、ハンガリー国内外のピアノコンクールの審査員を務め、日本、イタリア、ポーランド、ペルーなどでマスタークラスを開講し好評を博している。
 リスト音楽院セミナーには2020年、23~24年に講師として参加。

クリストフ・バラーティ (ヴァイオリン) Kristóf Baráti

クリストフ・バラーティ写真

© Marco Borggreve

 幅広い表現力と完璧なテクニックを備えた「真の最高レベルの音の審美家」と世界中で評されている。近年、ロサンゼルス・フィルハーモニックとハリウッド・ボウルで、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団とロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホールで共演し、2019年にはヴェルビエ音楽祭のオープニング・コンサートでソリストを務めた。また、チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団、オスロ・フィルハーモニー管弦楽団、フランス国立管弦楽団、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン放送交響楽団、モントリオール交響楽団、カメラータ・ザルツブルク、ロシア国立管弦楽団、BBCスコティッシュ交響楽団、BBCフィルハーモニック、サンパウロ交響楽団、ハーグ・フィルハーモニー管弦楽団などのオーケストラと共演している。米国や中国を含む世界中で、ゲルギエフやマリインスキー管弦楽団と定期的に共演しているほか、ヴェルビエでのコンサートや、パノン・フィルハーモニー管弦楽団との単独コンサートで演奏されたバルトークのヴァイオリンソロとオーケストラのための作品などがmedici.tv によって録画されている。
 定期的にリサイタルや室内楽の演奏会に出演し、これまでにミッシャ・マイスキー、ユーリ・バシュメット、エンリコ・パーチェ、ジャン=エフラム・バヴゼ、ゾルターン・コチシュ、キム・カシュカシアンなどと共演している。毎年ホワイト・ナイト・フェスティバルで演奏しているほか、2019 年にはシアトル室内楽フェスティバルとアスペン音楽祭にも出演。16 年には、ヴェルビエ音楽祭でバッハの独奏ソナタとパルティータ全曲を演奏し、センセーショナルなデビューを果たし、それ以来毎年出演している。
 これまでに、モーツァルトの協奏曲、クララ・ヴュルツとの共演によるベートーヴェンとブラームスのソナタ全曲、ブリリアント・クラシックスからイザイのソロソナタ、ベルリン・クラシックスとドイツ・グラモフォンからバッハのソナタとパルティータなど数多くのCDをリリース。16年に録音されたアンコール集『The Soul of Lady Harmsworth』について、グラモフォン誌は「甘美でアクロバティックな最高のヴァイオリン演奏を聴きたい人にとって、バラーティは最高の存在」と評した。23年にフンガロトンからリリースされた彼の最新CDには、妻のカロリナ・コンドロシとの共演でバルトークの「2つのヴァイオリンのための44の二重奏曲」が収録されている。また、近年指揮者としても活躍の場を広げ、さまざまなオーケストラと頻繁に共演しており、23年には、ソリストにミハイル・プレトニョフを迎えコンチェルト・ブダペストと共演した。
 幼少期の多くをヴェネズエラで過ごし、ソリストとして同国の主要なオーケストラと共演した。その後、リスト音楽院で学ぶためにブダペストへ戻り、後にミルシテインとメニューインの弟子であるエドゥアルド・ウルフソンに師事。現在もブダペストに在住し、ハンガリー各地で定期的に演奏活動を行っているほか、イシュトヴァーン・ヴァルダイとともにカポシュヴァール国際室内楽フェスティバルの芸術監督とリスト音楽院のヴァイオリン科主任教授を務めている。シカゴ・ストラディバリウス協会の厚意により、1703年製“Lady Harmsworth”を使用。

第27回リスト音楽院セミナー ノン・ディグリープログラム入学試験

 ノン・ディグリー・プログラムとは、リスト音楽院に在籍し、学生の興味や目的に応じて作成した学習計画に沿い、専門の勉強をするプログラムです。本人の希望で学習期間(原則1年)を設定でき、在籍期間中に必須試験はありません。授業は英語やドイツ語などで行われます。履修証明書を請求することができますが、ディプロマ(卒業証書)は取得できません。学習内容は、専門、室内楽(受講に条件あり)、楽理及びソルフェージュ等があります。

コース ピアノ・ヴァイオリン・ハープ
募集年度 2025/2026年度(2025年8月下旬~2026年6月中旬予定)
試験日 2025年2月25日(火)午前中を予定
会場 札幌コンサートホール Kitara 小ホール

[全コース共通]
受験資格
 ・入学時18歳以上で高校卒業の学習履歴を持つこと。
 ・英語もしくはドイツ語での学習に不自由のないこと。
受験料
 120ユーロ(予定)

[ピアノコース]
課題曲
 ①J.S.バッハの作品から1曲
 ②古典派のソナタから任意の一(ひと)楽章(緩徐楽章を除く)
 ③自由曲
審査員
 ガーボル・ファルカシュ、バラージュ・レーティ

[ヴァイオリンコース]
課題曲
 ①J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタもしくは無伴奏ヴァイオリン・パルティータから異なる任意の舞曲2曲(フーガとシャコンヌを除く)
 ②モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲から任意の第1楽章(カデンツァ付き)
 ③サラサーテ:スペイン舞曲集 作品 21より 第1番 マラゲーニャもしくはスペイン舞曲集 作品22 より 第1番 アンダルシアのロマンス
審査員
 クリストフ・バラーティ

[ハープコース]
課題曲
 ①スカルラッティのソナタから1曲
 ②ドゥシェク:ハープ・ソナタ ハ短調 作品2-3より 第3楽章 ロンド-アレグロ
 ③トゥルニエ:演奏会用練習曲「朝に」
審査員
 アンドレア・ヴィーグ

※試験結果は当日中にお知らせします。合格者は2025年9月、リスト音楽院入学となります。入学およびハンガリー入国に必要な手続きについては、後日リスト音楽院から合格者にご連絡します。

※本入学試験の審査員と、留学中の担当指導教授は必ずしも一致いたしませんのであらかじめご了承ください。

※留学にかかる費用は自己負担となります。
年間授業料(参考) 専門/週1回レッスン:2,800ユーロ 週2回レッスン:4,100ユーロ

※あわせて室内楽や楽理、ソルフェージュ他のクラスを受講できます。授業料や入学に係る条件等についてはリスト音楽院ホームページ(https://uni.lisztacademy.hu)をご確認ください。

※フルタイムへの在籍変更をご希望の場合は、ブダペストにて別途試験が必要です。

※ハンガリーの長期就学ビザを駐日ハンガリー大使館で取得することが必要です。ビザ取得の際に提出する書類は、リスト音楽院から試験の合格者に送付されます。

申込方法(締め切り:12月6日(金))
はじめにリスト音楽院セミナー事務局へ願書をご請求ください。請求受付後、願書をお送りいたしますので必要事項を記入し、期日までにご提出ください。
添付書類等(必ず願書に添えてご提出ください。)
・写真 3.5cm×4.5cm 2枚
・パスポートの写し(お持ちでない方は事前にご相談ください。)
・履歴書(身上書)*英語で記載のこと
・最終学歴の卒業証明書もしくは在学証明書(2025年3月高校卒業見込以上)*英語で記載のこと
願書等の請求先・提出先
〒064-8649 札幌市中央区中島公園1-15 札幌コンサートホール リスト音楽院入学試験事務局
TEL 011-520-2000(代) FAX 011-520-1575
※札幌で行われる試験の受付に限ります。お問い合せは受験者本人が行ってください。
願書請求締切:2024年11月30日(土)
願書提出締切:2024年12月6日(金)

よくある質問

①セミナー期間中はずせない予定があるのでレッスン日を調整できますか。指導講師の希望を記載しても良いですか。
→必ず希望通りに調整できるとのお約束はいたしかねますが、なるべく考慮しますので申込時に備考欄へ記載してください。

②申込後に受講曲を変更できますか。
→12月下旬にお送りするご案内に記載の期日まで受け付けます。それ以降の変更はお受けできません。

③Kitaraの練習室を借りることはできますか。
→セミナー期間中、指定した日時と場所を練習室として開放します(無料)。12月下旬にお送りするご案内に記載の要領で予約を受付しますのでご確認ください。

④ノン・ディグリー・プログラム入学試験の結果はいつ発表されますか。
→全員の演奏終了後、当日中に発表します。道外の方は、時間に余裕を持って帰りのスケジュールを設定してください。

⑤ノン・ディグリー・プログラム入学試験の受講料はいつ支払えば良いですか。
→受験終了後、合格者のみリスト音楽院指定の口座へお支払いください。不合格となった方は不要です。

その他、ご不明点等がございましたら札幌コンサートホールKitara リスト音楽院セミナー係(TEL:011-520-2000/E-mail:liszt.seminar@kitara-sapporo.or.jp)までお問い合わせください。

ブダペスト・スプリング・フェスティバルのレポート

 2023年4月20日~5月2日にわたって開催されたブダペスト・スプリング・フェスティバルのコンサートに出演した第24回リスト音楽院セミナー最優秀受講生 古川 佳奈さんと、2024年4月29日~5月12日にわたって開催されたブダペスト・スプリング・フェスティバルのコンサートに出演した第25回リスト音楽院セミナー最優秀受講生 小野寺 拓真さんのレポートをご紹介します。コンサートは「札幌からブダペストへ」という公演名で紹介され、お二人の演奏お楽しみいただきました。

古川 佳奈(第24回リスト音楽院セミナー最優秀受講生)

■古川 佳奈 ピアノリサイタル■
日時/2023年4月25日(火)19:00開演
会場/Obudai Tarsaskor, Till Otto Hall
出演/古川 佳奈(ピアノ)
プログラム/J.S.バッハ:フランス組曲 第2番 ハ短調 BWV813
シューマン:クライスレリアーナ 作品16
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第21番 ハ長調 作品53
田中 弘基:Trace/Simulation:L.v.B.(after”Waldstein-Sonate”)for Piano solo(2023)
リスト:スペイン狂詩曲 S.254

2023年4月25日、ハンガリー最大の芸術イベントで、幅広い芸術に焦点を当てた「ブダペスト・スプリング・フェスティバル」にてソロリサイタルをさせていただきました。日本国外での演奏が人生で初めての経験だったこともあり、不安を感じつつも未知の世界をイメージして心躍る準備期間でした。

まずは、幼い頃から大好きで大切にしているJ.S.バッハの作品から、「フランス組曲第2番」を演奏いたしました。母のように、たくさんの種を植えて育ててくださった先生との思い出が詰まった作品のひとつなので、特別な舞台で演奏することを心に決めていました。次にシューマンの「クライスレリアーナ」で前半を終えました。個人的に、シューマンの音楽の中では等身大の自分が心を解放できる気がしておりますが、とりわけクライスレリアーナは、心の引き出しを増やしてくれる、愛してやまない作品なため、お聴きいただけて嬉しかったです。

後半初めは、ベートーヴェンの「ピアノ・ソナタ第21番」。演奏終了後の会場全体の反応に心温まり、皆様のエネルギーをいただいて自由でいられるということを再認識した瞬間でもありました。次に、東京藝術大学附属高校時代からの同期で、現在ドレスデン(ドイツ)にて研鑽を積まれている素晴らしい作曲家、田中弘基氏に委嘱新作を依頼し、演奏させていただきました。本プログラム最大のサプライズである、「Trace/Simulation:L.v.B.(after”Waldstein-Sonate”)for Piano solo(2023)」は、お客様それぞれの心を動かすことができるものになりました。最後は、ハンガリーの作曲家リストの「スペイン狂詩曲」。熱がこもった拍手と歓声が忘れられません。

会場には、在ハンガリー日本国大使館の大鷹大使、ラントシュ先生をはじめ、リスト音楽院セミナーで出会った先輩方、懐かしい友人、幅広い層のハンガリーにお住まいの皆様にお越しいただき、多くの方々と特別な時間を共有することができました。そして、音楽の持つ力を強く感じるとともに、お客様が作ってくださる、熱気に包まれながらもリラックスした会場の空気から、音楽の真の姿を見ることができました。唯一無二な経験をさせていただけたことを幸せに思っております。

小さい頃から育ててくださった札幌の地、札幌コンサートホールKitara様から貴重な演奏の場をいただけたこと、また、リサイタル開催にあたりご尽力くださった皆様に深謝申し上げます。お世話になっている皆様に恩返しをし続けられるよう精進してまいりますので、今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

最後に、リスト音楽院セミナーのますますの繁栄を心より祈念しております。

© Budapest Brand

小野寺 拓真(第25回リスト音楽院セミナー最優秀受講生)

小野寺 拓真【第25回リスト音楽院セミナー最優秀受講生)】

■小野寺 拓真 ピアノリサイタル■
日時/2024年5月12日(月)19:00開演、5月15日(水)19:00開演
会場/ショルティホール(リスト音楽院)、Hiros Agora文化センター(ハンガリー ケチケメート市)
出演/小野寺 拓真(ピアノ)
プログラム/スカルラッティ:ソナタ ニ短調 K.1 L.366
ハイドン:ピアノ・ソナタ 第56番 ニ長調 Hob.XVI:42
ショパン:ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 作品58
コダーイ:小ワルツ
小山 清茂:かごめ変奏曲
バルトーク:戸外にて BB89
リスト:夜想曲「夢のなかに」S.207 R.87
ワーグナー=リスト:歌劇「タンホイザー」序曲 S.442

私は、5月12日にブダペストのリスト音楽院・ショルティホールで、5月15日にケチケメートのHiros Agora文化センターでリサイタルを演奏させていただきました。ショルティホールは320席、Hiros Agora文化センターは601席のどちらも美しく大きなホールで、たくさんの人に演奏を聴いていただくことができ、とても楽しい時間となりました。

息抜きにはハンガリーの見どころを少し案内していただいたりして、リラックスして本番に臨むことができました。特にハンガリーの料理はどれもとても美味しかったです。

リサイタルの前半では、スカルラッティの「ソナタ ニ短調 K.1」、ハイドンの「ソナタ ニ長調 XVI42」、ショパンの「ソナタ ロ短調 Op.58」を演奏しました。ここでは調性や曲調を考えて選曲しました。ショパンのソナタ3番は、複雑に構成された大曲で取り組む際には苦労しましたが、とても美しい作品です。

後半はコダーイの「小ワルツ」、小山 清茂の「かごめ変奏曲」、バルトークの「戸外にて」、リストの「夢の中に」、ワーグナー/リストの「タンホイザー序曲」と、ハンガリーの作曲家中心のプログラムを演奏しました。特に「かごめ変奏曲」と「戸外にて」はそれぞれ日本とハンガリーの民謡のメロディー、楽器の音などが登場し、日々の生活や思い出を感じさせるような親しみやすい作品です。「タンホイザー序曲」は、今回リサイタルの機会をいただくきっかけとなった曲でもあり、現在習っているマティアス・キルシュネライト先生のレッスンを初めて受けた曲でもある非常に思い出深い曲で、今回リサイタルの最後に演奏することができ、大変嬉しく思っています。

昨年の3月にリサイタルをさせていただけることが決まってから1年間、プログラムの設定から曲の準備まで長い時間をかけてじっくり行うことができ、非常に良い経験となりました。

今回最大限のサポートをしてくださった札幌コンサートホールKitaraの皆様、谷本先生、リスト音楽院の皆様、現地スタッフの皆様、本当にありがとうございます。

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